日本トリムと東北大研究グループが発表 「電解水透析が患者の死亡数と心血管病の発症を抑制」

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日本トリムは、国立大学法人東北大学大学院医学系研究科附属創成応用医学研究センター・東北大学病院慢性腎臓病透析治療共同研究部門の中山昌明(なかやま まさあき)特任教授のグループと共同で論文を発表し、2018年1月10日にNature出版グループが発行した英国科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。

Title「Novel haemodialysis (HD) treatment employing molecular hydrogen (H2)-enriched dialysis solution improves prognosis of chronic dialysis patients: A prospective observational study」
(和訳:分子状水素含有血液透析液を用いた新規透析治療法は慢性透析患者の予後を改善する:前向き観察研究)

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血液透析の方法と予後について

血液透析とは、さまざまな原因により腎臓の機能が不十分になった腎不全の患者の方に行われる透析法の一つで、日本ではもっとも多く行われている治療法です。
血液を一度体内から取り出し、機械を使って老廃物や不要な水分を除去した後、再び体内に戻します。
一般的に血液透析は週3回ほど病院に通院し、一回4時間以上の時間を要するという非常に負担の大きなものです。
日本での慢性透析患者数は2015年末で32万人を超えており、その数は増加傾向にあると言われています。
これにより、国の医療費の増大が深刻な問題となっています。
また、透析は必ずしも腎臓と同じ働きができるわけではありませんので、合併症も起こりやすくなります。
特に、心機能の低下や、動脈硬化の進行による心筋梗塞のリスクが高まることから、心血管合併症が死因のトップとなっています。
この合併症の原因として、透析中の生体内で生じる酸化ストレスと炎症の関与が示唆されるものの、これらを抑制する手段は現時点ではありませんでした。

東北大学研究グループと日本トリムの
共同研究開発による「電解水透析システム」

このような中、東北大研究グループと株式会社日本トリムは、2006年より共同研究を開始し、「電解水」を用いた透析システムの開発を進めてきました。
「電解水」とは、水を電気分解することにより生成される水のこと。
原水を電気分解後、逆浸透圧装置に導入し、水素ガスを溶存した電解RO水を生成します。
2011年からはこの新しい透析システムを利用した5年間に及ぶ臨床研究を実施。
電解水透析と通常透析の予後を比較し、電解水透析の影響について明らかにしてきました。

電解水透析による
死亡数・心血管合併症リスクの抑制を確認

研究は国内7施設、慢性透析患者309名を対象に行われました。
患者を電解⽔透析群(161件)と通常の⾎液透析群(148件)に分けて、死亡及び心脳血管病(うっ血性心不全、虚血性心疾患、脳卒中、虚血による下肢切断)の発生を5年間追跡しました。
その結果、電解水透析群では通常透析群に比べてその発生リスクが41%低いという結果が確認されました。
また、電解水透析群では透析後の高血圧の改善や、 必要な 1日当たりの降圧薬の投与量の減量が観察されたということです。
研究グループでは「電解水血液透析は、慢性透析患者の心血管病を抑制し、患者予後を改善する可能性が示された」としています。

電解水透析により、従来の血液透析において大きな課題であった高い死亡率や心血管合併症のリスクを低減することは、患者の社会復帰を後押しし、QOL(Quality of Life)向上にもつながるのではないかと考えられます。
また、国の重要な課題でもある医療費抑制への貢献も期待されています。
日本トリムではこれからもさらなる電解水透析の可能性について研究開発を進めてまいります。

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