海洋深層水の3つの特性と、活用方法

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「海洋深層水」ってどんなものかご存知でしょうか?HJ122_350A

私たちの身の回りには、水道水やミネラルウォーターなど、
様々な種類の水があります。
海洋深層水もその一つ。
地球上の水のおよそ97%を占めるという豊かな海水の恵みです。
ペットボトル入りの水のほか、食品や化粧品、水産業や農業、さらにはリラクゼーション施設まで、様々なところで海洋深層水が利用されるようになっています。

海洋深層水にはどのような特性があり、どのように活用されているのか、見ていきます。

目次

(1)海洋深層水とは
(2)海洋深層水の特性
(3)海洋深層水の利用
 3-1水産業
 3-2農業
 3-3商品
 3-4タラソテラピー(海洋療法)
(4)まとめ

(1)海洋深層水とは

地球上の水のうち、およそ97%を占めるという海水。
この豊富な水資源を有効活用することは非常に意義のあることだと考えられます。
その中でも今大きな注目を集めているのが、「海洋深層水」です。

海洋深層水とは、一般的に水深200メートル以深の海水のことを言います。
深層水は、表層水とは異なるいくつかの特性を持つことから、「機能水」の一つにも数えられることがあります。
機能水とは、「人為的な処理によって再現性のある有用な機能を獲得した水溶液の中で、処理と機能に関して科学的根拠が明らかにされたもの、及び明らかにされようとしているもの」(日本機能水学会)とされています。
実際、海洋深層水の“機能”を活かすべく、水産業や農業のほか、飲料水や食品、化粧品といった加工製品、リラクゼーション施設など様々な分野での応用が進められています。

日本では1986年から科学技術庁(現文部科学省)が「海洋深層資源の有効利用技術の開発に関する研究」を実施したのが始まりで、1989年に国内初の陸上取水施設が高知県室戸市に開設、1992年度から1994年度には富山県水産試験場内に海洋深層水利用研究施設が整備されました。
現在は、北海道や静岡県、新潟県、鹿児島県、沖縄県などに取水施設が設けられており、研究や産業利用が行われています。

(2)海洋深層水の特性

海洋深層水には、海面近くの表層水とは異なるいくつかの特性があります。

・清浄性

海洋深層水は表層水に比べて、生活排水や産業排水によって汚染された陸水や大気汚染の影響を受けにくく、清浄であるという特長があります。
また、太陽光が届かないことからプランクトンなどが成育せず、病原性微生物の数も少ないということも挙げられます。
深層水中の総生菌数は表層水と比べて非常に少ないという調査結果も出ています。
そのため、食品加工をはじめとする様々な分野での活用が可能となっています。

・低温安定性

太陽光が届かない深層水の水温は、表層水に比べて低温です。
また、表層水との混合が行われないために年間を通じて水温・水質が安定しているという特性もあります。
この性質を利用して、冷熱エネルギーとしての活用や、魚の養殖などの漁業利用が進められています。

・無機塩類に富む

海中では、植物プランクトンが無機塩類を消費しながら成長しています。
しかし光の届かない海洋深層水中では、光合成を行うことができないため、植物プランクトンがほとんど生息していません。
そのため、海洋深層水の中には無機塩類が豊富に含まれるという特性があります。
深海の水が上昇する「湧昇流」が起こる海域では、豊富な無機塩類によって植物プランクトンがいっせいに光合成を行い、それを食べる動物プランクトン、さらに小型の魚、大型の魚が増えることから、有数の好漁場となることが知られています。
日本では室戸が代表的な湧昇域として挙げられます。

(3)海洋深層水の利用

海洋深層水は、その特性を活かして様々な分野での活用が進められています。

3-1水産業

海洋深層水の産業利用としてもっとも早くから始められたのが、水産分野です。
清浄性、低温安定性、無機塩類に富むといった特性を活かし、各地で海洋深層水を使った養殖業が盛んに行われています。
富山県の入善町では、海洋深層水を活かしてアワビの養殖を行い、良質・高鮮度なアワビの安定出荷を目指しています。
室戸では、病原性のない良質なヒラメの受精卵が放流種苗生産用として提供できるまでになったほか、キンメダイやトラフグといった高級魚の成熟試験も実施されています。
また、研究利用後の水が流れる海域では、海藻が豊富に茂り、生物が数多く生息するという現象も見られており、さらなる可能性にも注目が集まっているということです。

3-2農業

農業の現場にも水は不可欠ですが、ここでも海洋深層水が活用されることがあります。
例えば沖縄県では、従来ホウレンソウなどの温帯性野菜類を夏場に栽培することは困難でした。
しかし海洋深層水の冷熱で根の部分を冷やすことにより、栽培が可能となります。
同様に12月に収穫するのが難しかったイチゴも、海洋深層水の冷熱利用による栽培技術の確立を目指しています。
一方高知県や富山県などでは、塩分の含まれた海洋深層水を与えることで、より糖度の高いトマトを栽培するといった試みもなされています。

3-3商品

清浄かつミネラルが豊富な特性を活かし、海洋深層水を使った様々な商品がつくられるようになっており、その地ならではの特産品としても有名になっています。

・飲料水

海洋深層水には塩分が含まれるためそのままでは飲用に適しませんが、脱塩などの処理を施したものが飲料水として販売されています。
いわゆるミネラルウォーターの仲間として扱われていますが、地下水を原料としていないため、正式には「ボトルドウォーター」になります。

・塩

海洋深層水からとたれた塩も代表的な特産品です。
「ミネラルが豊富」「まろやかな塩味」などと言われ、人気があります。

・酒

海洋深層水で仕込んだ焼酎や日本酒などのお酒も製造されています。
清浄であることに加え、深層水を使うことによって風味が増すなどとも言われています。

・水産加工品

海洋深層水と、その土地ならではの魚介類を使った加工品も人気です。
海洋深層水で仕込んだ干物や塩辛、蒲鉾など、いずれもまろやかな塩味が楽しめる商品となっています。

・調味料

醤油や味噌などの調味料にも深層水が使われています。

・化粧品

海洋深層水は、食品だけではなく、化粧水やシャンプー、入浴剤などといった化粧品にも使われるようになっています。
効果についてはまだ研究が進められている段階ですが、お肌がしっとりするなどといった声もあるようです。

3-4タラソテラピー(海洋療法)

海洋深層水の新たな活用分野として注目されているのが、タラソテラピー(海洋療法)です。
フランス医学アカデミーの定義によれば、タラソテラピーとは「海洋気候の作用の中で、海水、海藻、海泥を用いて行う治療」のこと。
水中運動や、海藻・海泥を使ったパックなどによる心身の健康増進作用に期待が集まっています。
1998年には富山県滑川市にタラソテラピー施設である「タラソピア」がオープン、現在では室戸市や久米島などにも海洋深層水を使ったリラクゼーション施設が設けられています。

(4)まとめ

それでは最後に、海洋深層水についてまとめておきます。

・海洋深層水とは水深200メートル以深の海水のこと
・表層水と比べ、清浄・低温で安定している・無機塩類に富むといった特性を持つ
・海洋深層水は魚介類の養殖や、農業に活用されるようになっている
・飲料水や塩、お酒、調味料、化粧品など、海洋深層水を使った商品が数多く製造されている
・海洋深層水を使ったタラソテラピーにも注目が集まっている

<参考文献>

一般財団法人 機能水研究振興財団
⇒http://www.fwf.or.jp/index.html
海洋深層水研究会「深層水ってすごい!!」
⇒http://www.shinsousui.com/
高知県庁ホームページ「室戸海洋深層水」
⇒http://www.pref.kochi.lg.jp/shinsosui/
富山の海洋深層水
⇒http://t-deepsea.jp/
沖縄県海洋深層水研究所
⇒http://www.pref.okinawa.jp/odrc/welcom2odrc.html
海洋深層水利用学会
⇒http://www.dowas.net/top1.html

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