胃潰瘍、その6大知識

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胃の不調を抱えているという方、多いですよね。胃潰瘍
胃が痛む…
胸がムカムカする…
食欲が湧かない…
ストレスなどによって“胃に穴が開く”ような思いをしたことのある方も
多いかもしれませんが、まさに穴が開く一歩手前の状態が、胃潰瘍です。

胃潰瘍はきちんと治療しないと繰り返すこともあると言われており、
注意が必要な病気です。
その原因や治療法など、正しい知識を持って胃潰瘍に対処しましょう。

目次

(1) 胃潰瘍とは
(2) 胃潰瘍の症状
(3) 胃潰瘍の原因
(4) 胃潰瘍の検査
(5) 胃潰瘍の分類
(6) 胃潰瘍の治療
(7) まとめ

(1)胃潰瘍とは

胃潰瘍とは、胃酸によって胃壁が傷つけられ、一部が欠損してしまった状態を言います。

通常胃の内壁は、pH1~2の強い酸性である胃酸や消化酵素を含む胃液によって自身が消化されてしまわないよう、粘液のバリアで覆われています。
しかし何らかの原因によってこのバリア機能が低下し、胃液による攻撃を直接受けることで、粘膜が傷つき、胃潰瘍が生じるのです。

胃に続く消化器である十二指腸でも同様の現象が起こる場合があり、これを「十二指潰瘍」と呼びます。
また胃潰瘍と十二指腸潰瘍を「消化性潰瘍」としてまとめることもあります。
胃潰瘍が主に胃粘膜のバリア機能の低下によって起こりやすいのに対し、十二指腸潰瘍は胃酸による攻撃が過剰になることによって起こりやすいと言われています。
元々胃酸の分泌が少ない日本人では胃潰瘍を発症する人のほうが多く、胃酸の分泌が高い欧米人では十二指腸潰瘍を発症する人が多いと言われてきました。
しかし最近では日本でも十二指腸潰瘍を発症する人が増えており、ここには食生活の欧米化などが大きく関わっていると考えられています。

胃潰瘍は薬を服用することで比較的治りやすい病気と言われていますが、一方で再発しやすいものでもあります。
胃潰瘍を何度も繰り返していると胃がんにつながる恐れもあり、注意が必要です。

(2)胃潰瘍の症状

胃潰瘍の症状は人によっても異なりますが、一般的には次のようなものがあります。

・胸焼け、呑酸(どんさん)

胃潰瘍では、胸が焼けるようにムカムカとしたり、吞酸(どんさん:酸っぱい液が口まで上がってくる)が生じたりすることがあります。
胃酸の分泌が過剰になっている場合に多く見られる症状です。

・吐き気、嘔吐、食欲不振など

胃の出口(幽門)や十二指腸に潰瘍が起こることによって幽門部が狭くなると、胃の中に食べ物が長く留まるようになり、吐き気や嘔吐、食欲不振などの症状が現れることもあります。

・上腹部の痛み

胃潰瘍では、みぞおちのあたりや上腹部全体に痛みを感じることがあります。
胃潰瘍の場合、胃に入った内容物によって潰瘍が刺激されることから、食後に痛みが起こりやすいと言われています。
一方十二指腸潰瘍では、胃酸による刺激を受けるため空腹時に痛みが起こりやすいようです。

・出血(吐血、下血)

潰瘍部分からの出血がある場合、黒褐色の血を吐いたり、黒い便(タール便)が出たりすることもあります。
冷や汗や脈拍低下、激しい痛みなどの症状を伴う場合にはすぐに医療機関を受診しましょう。

いつもの胃の不調だと思って市販の胃薬を服用してしまうと、症状が治まらないばかりか潰瘍が進行してしまうこともあります。
安易に自己判断するのではなく、医師の診断を仰ぐようにしましょう。

(3)胃潰瘍の原因

胃潰瘍の原因には、以下のようなものが挙げられます。

・ピロリ菌

近年、胃潰瘍の最大の原因として明らかにされるようになったのが「ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)」の存在です。
通常強い酸性の胃の中に細菌は生息することができないと考えられてきましたが、ピロリ菌はこのような状況でも生息可能であり、有毒物質を出すことによって胃粘膜に炎症(胃炎)を起こします。
そこが胃酸によって傷つけられることで、潰瘍へと進行するのです。
ピロリ菌に感染していればすぐに胃潰瘍になるということではありませんが、胃潰瘍が起こりやすくしたり、治りにくくしたりすると考えられています。
日本では50代以上のおよそ半数がピロリ菌に感染していると言われますが、若年層の感染者はそれほど多くなく、ピロリ菌感染による胃潰瘍も減少傾向にあると言われています。

・非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)

もう一つ、胃潰瘍の大きな原因とされるのが、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)です。
非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)には消炎、鎮痛、解熱作用があり、かぜや関節痛など様々な病気の治療に使われています。
また、脳梗塞心筋梗塞を起こしたことのある方が予防のために服用する低用量アスピリンも非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の一種です。
非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)は、胃酸から胃粘膜を守る上で重要な働きをしている「プロスタグランジン」の合成を抑制する作用を持っており、胃粘膜の防御機能を弱めてしまうと言われています。
その結果、胃潰瘍が起こりやすくなってしまうのです。
非ステロイド系抗炎症薬に由来する胃潰瘍は、痛みなどの症状が出ないまま進行し、突然出血などの症状を起こすこともあるとも言われています。
また、ピロリ菌に感染している人や過去に胃潰瘍を起こしたことがある人など、ほかにも誘因のある人が非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)を使う場合には注意が必要です。

・ストレス

「ストレスで胃に穴が開く」などと言うことがありますが、実際にストレスは胃の機能に大きく影響します。
ストレスが直接胃潰瘍を引き起こすことは少ないものの、脳がストレスを感じることによって自律神経のバランスが乱れ、胃粘膜の血流が低下したり、胃酸の分泌が過剰になったりして、胃潰瘍を起こすことがあるのです。
元々ピロリ菌に感染している人は、ストレスによって胃潰瘍になる危険性がさらに高まるとも言われています。

・その他の原因

上記のような原因に加えて、普段の生活習慣も胃潰瘍の発症に大きく関係します。
例えば、アルコールや香辛料などの刺激物の取りすぎは、胃粘膜を直接刺激して潰瘍を悪化させることがあります。
タバコは胃粘膜の血流を低下させ、そのバリア機能を弱めることから注意が必要です。
生活リズムの乱れなども胃の機能を低下させる原因となります。

(4)胃潰瘍の検査

胃潰瘍が疑われる場合、まず内診や触診によって症状を確認した後、以下のような詳しい検査を行います。

・バリウム検査

バリウムと呼ばれる造影剤を飲んでからX線を照射して、胃の内部を観察する検査です。
潰瘍部分にバリウムが入り込み、胃壁から突出したように映るため、潰瘍の場所を確認することができます。

・内視鏡検査

小型のカメラが付いた内視鏡を口または鼻から挿入し、胃の内部を直接観察する検査です。
潰瘍の深さや進行度を診断するほか、胃がんなどほかの病気との区別を行います。
同時に詳しい検査を行うために組織を採取したり、止血などの処置を行ったりすることもあります。

・組織検査(生検)

内視鏡によって採取した組織をより詳しく検査します。
この検査によって胃潰瘍か胃がんかをより正確に区別することが可能になります。

・ピロリ菌検査

ピロリ菌の感染の有無を検査することは、胃潰瘍の治療方針を決める上で大切です。
検査方法としては、内視鏡検査によって採取した組織の中にピロリ菌がいるかどうかを調べるというものがあります。
それ以外に、血液や尿からピロリ菌の抗体の有無を調べる検査、尿素を含んだ検査薬を飲んだ後の呼気中の二酸化炭素の比率からピロリ菌の有無を調べる検査などがあります。

(5)胃潰瘍の分類

胃潰瘍は、その深さによって分類されます。
胃壁は内側から、粘膜層、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、漿膜層といった構造をなしています。
一般的に粘膜層のみの障害は「びらん」と言い、粘膜下層より深い組織に欠損が生じたものを「潰瘍」と定義しています。
潰瘍が進行して粘膜より下層の筋層や漿膜に傷が及ぶようになると、壁に穴が空いた「穿孔(せんこう)性潰瘍」となり、腹膜炎を起こすこともあります。
このような状態になると命にも関わることになりますから、早期の治療や再発の予防に努めていくことが大切になります。

また、胃潰瘍の進行度は一般的に次のように分類されます。

① 活動期(潰瘍ができたばかりの時期)

潰瘍の底には白苔(はくたい)と呼ばれる白いものが付き、でこぼことした状態です。
周囲も赤く、腫れています。
活動期は通常2~3週間ですが、この時期に胃に負担をかけると潰瘍が深くなることがありますので、食事に気を付け、安静にすることが大切です。

② 治癒期(ちゆき・治っていく途中の時期)

潰瘍全体が縮小し、白苔も薄くなり、周囲の腫れも引いていきます。
症状はほぼ治まっていますが、薬をやめてしまうとすぐに再発するので注意が必要です。

③瘢痕期(はんこんき・治りかけの時期)

白苔はなくなり、小さな傷痕が残るだけになります。
傷痕は初め赤い状態(赤色瘢痕)ですが、やがて白い状態(白色瘢痕)に変わります。
治療を開始してからこうなるまでは通常8週間ほどです。

(6)胃潰瘍の治療

胃潰瘍の治療方法は、まず潰瘍部分からの出血があるかどうかによって大きく分かれます。
出血がある場合には、内視鏡によって患部に止血剤を注射したり、クリップで閉鎖したり、焼灼したりして、止血を行います。
これらの方法でも止血が難しい場合や大きな穿孔が生じた場合には、緊急手術が行われることもあります。

止血が成功した場合や出血が見られない場合には、ピロリ菌に感染しているかどうかによって治療の方法が決まります。
ピロリ菌検査によって感染が確認された場合には除去治療が、そうでない場合には薬物治療が行われます。

・ピロリ菌除菌治療

ピロリ菌が潰瘍の原因であると明らかにされた場合には、ピロリ菌の除去を行うことで再発の可能性は極めて低くなると言われています。
2種類の抗菌薬と1種類の胃酸分泌薬を1週間服用し、4週間以上の間隔を空けてピロリ菌の有無を検査します。
1回目の治療での除菌成功率は約80%であり、除菌できなかった場合には薬を変えて2回目の治療を行います。

・薬物治療

プロトンポンプ阻害薬、H2受容体拮抗薬といった胃酸の分泌を抑える薬が主に用いられます。
また、必要に応じて胃粘膜を保護する薬が用いられることもあります。
通常これらの薬物を使えば速やかに治癒期に入り、胃潰瘍の症状は少なくなりますが、完全に治るまでは再発の恐れがあるため薬を飲み続ける必要があります。
胃潰瘍は再発性の高い病気であるため、完治後も一定期間薬の服用を継続する「維持療法」が行われることもあります。

これ以外に、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)が胃潰瘍の主な原因となっている場合には、服用を中止することが予防・治療の第一歩となります。
また、胃潰瘍の再発防止のためには、上記のような治療法を進めると同時に、胃に負担をかけない食事や節酒、禁煙、ストレスの軽減など、生活習慣の改善を行う必要があります。

(7)まとめ

それでは最後に、胃潰瘍についてまとめておきます。

・胃潰瘍とは、胃酸の攻撃によって胃粘膜の一部が損傷した状態を指す
・胃潰瘍の症状には上腹部の痛みや胸焼け、食欲不振などがあり、ひどい場合には吐血や下血が見られることもある
・ピロリ菌と非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)が胃潰瘍の主な原因で、そのほかにストレスや食生活なども関係する
・胃潰瘍の検査方法には、バリウム検査や内視鏡検査、組織検査、ピロリ菌検査などがある
・傷の深さによって「びらん」「潰瘍」「穿孔性潰瘍」と呼び分けられるほか、進行度によって活動期・治癒期・瘢痕期という過程がある
・治療には、ピロリ菌除菌治療、薬物治療などが行われるほか、生活習慣の改善も必要である

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参考文献:

日本医師会ホームページ 健康の森 「胃潰瘍と十二指腸潰瘍」
⇒https://www.med.or.jp/chishiki/i/001.html
NPO標準医療情報センター 「胃潰瘍治療法ガイドライン」
⇒http://www.ebm.jp/disease/digestive/02ikaiyo/guide.html
別冊NHKきょうの健康 「「胃もたれ・胸やけ」は治せる」 監修 三輪洋人
成美堂出版 「胃腸・肝臓などのしくみと病気がわかる事典」 監修 安藤幸夫・西尾剛毅

 

 

 

 

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