逆流性食道炎ってどんな病気?5つの基礎知識を学ぼう

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「逆流性食道炎」という名前を耳にする機会が増えました。
胸焼けの症状に代表されるこの病気は、近年日本でも患者数が増加していると言われています。

欧米型の食生活、ストレス、タバコ、肥満。
現代の生活の中に、その原因は潜んでいます。

逆流性食道炎ってどんな病気?
胸やけ以外にも現れる、意外な症状とは?
その検査方法や治療方法は?

逆流性食道炎の基礎知識をまとめました。

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<目次>

逆流性食道炎とは
逆流性食道炎の原因
 逆流性食道炎が起こる仕組み
 逆流性食道炎の要因
逆流性食道炎の症状
逆流性食道炎の検査
逆流性食道炎の治療
 薬物治療
 生活習慣の改善
 外科手術
まとめ

逆流性食道炎とは

逆流性食道炎とは、胃酸を含む胃液や、胃の内容物が食道に逆流することによって食道が炎症を起こし、胸やけなどの症状が現れる病気です。

胃の内容物が食道に逆流することによって起こる病態を総称して「胃食道逆流症(GERD)」と言います。
このうち食道に炎症が見られるものが「逆流性食道炎」です。
一方、胸やけなどの症状が見られるものの内視鏡検査で食道に異常が見られないものを「非びらん性胃食道逆流症」と言います。

症状が重くても炎症自体は軽かったり、まったくなかったりということもあれば、症状はほとんどなくても炎症が起こっていることもあり、症状の重症度と炎症の重症度は必ずしも比例しません。
いずれにしても、逆流性食道炎・非びらん性胃食道逆流症ともに最近では増加傾向にあると言われています。
逆流性食道炎については1990年代から患者数が増加傾向にあり、元々は高齢の方に多かったのが、最近では若い世代でも患者が増えていると言われています。

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参考:
「胃食道逆流症(GERD)ガイド」日本消化器病学会ガイドライン
https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/gerd.html

逆流性食道炎の原因

逆流性食道炎が起こる仕組み

胃から分泌される胃酸はpH1~2の強力な酸性液で、胃の内容物が腐敗するのを防ぐ役割を果たしています。
胃は、粘液を分泌して内壁を覆うことで、この胃酸から自身が傷つけられないようにしています。
しかし何らかの原因で胃酸が食道まで逆流すると、胃酸に対する防御機能を備えていない食道はその刺激によってすぐに炎症を起こしてしまいます。

では、なぜ逆流が起こってしまうのでしょうか?
食道と胃のつなぎ目には「下部食道括約筋(LES)」と呼ばれる筋肉があります。
この筋肉は、食事をしたときには緩んで食道から胃へと食べ物を送り、それ以外のときは閉じて胃の内容物が逆流しないようになっています。
また、食道自身も蠕動運動を行っており、胃の内容物が逆流してしまっても、飲み込んだ唾液と共に胃へと送り返す力を持っています。

しかし次のような原因によってこれらの機能がうまく行われなくなると、胃液や内容物の食道への逆流が多くなり、逆流性食道炎が起こりやすくなるのです。

・下部括約筋の緩み
・腹圧の上昇
・食道裂孔ヘルニア
・食道の蠕動運動の低下
・胃酸、胃の内容物の増加

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逆流性食道炎を引き起こす要因

逆流性食道炎を引き起こす要因としては、次のようなものが考えられます。

・脂肪の多い食事

脂肪の多い食事は胃酸の分泌量を増やし、胃の働きに負担をかけるため、逆流性食道炎を起こしやすいと言われています。
日本人には元々逆流性食道炎にかかる人は多くありませんでしたが、欧米型の食生活が進んだことにより、この病気にかかる人が増えていると言われます。
そのほか甘いものやコーヒー、アルコール、刺激物なども胃酸の分泌を高めると言われます。

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・食べ過ぎ、早食い

食べ過ぎや早食いによって胃に大量の食べ物が流れ込むと、括約筋が緩んで逆流が起こりやすくなります。
また、食べ物とともに空気を飲み込んでしまうので、ゲップと一緒に内容物も逆流しやすくなるのです。
食べてすぐ横になるのも逆流を起こす原因になります。

・肥満、前かがみの姿勢

肥満になると腹圧が上昇することにより胃酸が逆流しやすくなると考えられています。
背中が曲がっている人や、長時間前かがみの姿勢でいる人も、腹圧が上昇しやすいので注意が必要です。

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・食道裂孔ヘルニア

胸腔内にある食道は、横隔膜を貫いて腹腔内にある胃へとつながっています。
この、食道が横隔膜を貫いている部分の孔を「食道裂孔」と言います。
食道裂孔ヘルニアとは、この孔を通して胃が横隔膜より上部に脱出してしまうことを言います。
このような状態になると簡単に逆流が起こりやすくなり、逆流性食道炎を発症しやすくなるのです。
食道裂孔ヘルニアが起こる原因としては、食道裂孔の筋肉の緩みなどが挙げられており、背中の曲がった高齢者や肥満の人がなりやすいと言われています。

・加齢

加齢によって下部食道括約筋が緩くなると言われるほか、食道の蠕動運動も低下するため逆流が起こりやすくなります。
ただし加齢とともに胃酸の分泌は低下するため、逆流が起こっていても逆流性食道炎を発症しないケースもあります。

・ストレス

ストレスは食道の蠕動運動を低下させたり、胃酸の分泌を高めたりして、逆流性食道炎を起こしやすくします。

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・タバコ

「タバコは百害あって一利なし」と言われますが、消化管の粘膜を弱める、胃酸の分泌を過剰にするなど、逆流性食道炎の原因の一つとしても挙げられています。

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・薬

狭心症や高血圧などの病気の治療に用いられる薬の中には、下部食道括約筋の機能を低下させるものがあります。
ほかの要因を持っている人がこれらの薬を服用すると、より逆流が起こりやすくなると言われています。

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★ピロリ菌との関係

ピロリ菌は、慢性胃炎のほか、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの病気を引き起こす主原因として近年名前が挙げられるようになった細菌です。
ピロリ菌は胃粘膜の中に生息し、有毒物質を出すことで粘膜を傷つけ、炎症や潰瘍を起こしやすくすると言われています。
一方で、ピロリ菌に感染していると胃酸の分泌量が減少することから、逆流性食道炎にはかかりにくいと言われています。
ただし近年では衛生状態がよくなってピロリ菌の感染者が減少したことから、胃酸の分泌量が増える原因となっています。

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参考:
「わかりやすい病気のはなしシリーズ46 食道の不快な症状~胃食道逆流症のはなし~」日本臨床内科医会
http://www.japha.jp/doc/byoki/046.pdf

逆流性食道炎の症状

逆流性食道炎の症状はさまざまです。
胸やけのように食道自体に異常が現れる場合もあれば、食道以外の場所に症状が生じ、すぐには逆流性食道炎に結びつかない場合もあり、注意が必要とされています。

・胸焼け

逆流性食道炎の代表的な症状とも言えるのが、胸焼けです。
胃酸や胃の内容物が逆流することによって、胸がチリチリと焼けるような症状が現れます。
また、胸のつかえ感や痛みを感じる人もいます。

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・呑酸(どんさん)

酸っぱい液体がのどの奥までこみ上げてくる「吞酸(どんさん)」も、逆流性食道炎ではよく見られる症状です。
ゲップや吐き気、また実際に嘔吐が起こるケースもあります。

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・のどの不調

逆流性食道炎では、のどにも不調が現れることがあります。
のどがヒリヒリと痛む、何かが詰まっている感じがする、食べ物が飲み込みづらい、声がかすれるなど、さまざまな症状があります。

・咳

逆流した胃酸が食道を刺激したり肺に入ったりすることで咳が起こり、喘息のような症状が現れる方もいます。

・耳の痛み

ごくまれですが、逆流した胃の内容物が耳管を刺激することで、耳痛が起こる人もいます。
ひどい場合には中耳炎になることもあります。

参考:
「(得)けんこう教室/逆流性食道炎/生活習慣の改善をこころがけて」全日本民医連
https://www.min-iren.gr.jp/?p=11960

逆流性食道炎の検査

胃食道逆流症は、詳しい検査を行わなくても症状から診断を行い、治療を進めることも可能です。
しかし症状が続く場合などにはより詳しい検査が勧められます。
検査方法には以下のようなものがあります。

・内視鏡検査

食道内に内視鏡を挿入し、直接観察します。
これにより炎症が認められた場合には逆流性食道炎、そうでない場合には非びらん性胃食道逆流症と診断されます。
また、食道がんやほかの疾患(胃潰瘍など)との判別も可能になります。

・PPI検査

酸分泌抑制薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)を試験的に服用し、症状が改善するかどうかを見る方法です。
内視鏡検査が行えない場合などに行われます。
症状が改善されれば胃食道逆流症(逆流性食道炎か非びらん性胃食道逆流症)であると診断されます。

・24時間pHモニタリング検査

先端にpH測定装置の付いたチューブを鼻孔から食道に入れ、食道内のpHを24時間測定します。
これにより、逆流がどの程度起きており、症状とどのような関係があるのかといったことを調べることができます。
日本ではまだほとんど普及していない特殊な検査です。

逆流性食道炎の治療方法

 薬物治療

逆流性食道炎のもっとも基本的な治療法は、薬物による対症療法です。
以下のような薬物が使用されます。

<酸分泌抑制剤>

・プロトンポンプ阻害薬

胃酸を分泌している、壁細胞のプロトンポンプの働きを妨げる薬で、強力な胃酸分泌抑制力があります。
逆流性食道炎ではもっとも多く用いられる治療薬となっています。

 ・H₂ブロッカー

ヒスタミンがH₂受容体と結びついて胃酸を分泌するのを妨げる作用のある薬で、以前は処方箋が必要でしたが、現在では市販薬としても出回っています。

<制酸薬>

胃酸を中和し、逆流しても刺激にならないようにするための薬です。
効果が一時的なため、胃酸分泌抑制剤と併用されることが多いです。

<粘膜保護薬>

食道粘膜の傷を保護する作用のある薬で、こちらも多くの場合胃酸分泌抑制剤と併用されます。

<消化管運動機能改善薬>

食道や胃の蠕動運動を促進して逆流を防ぐための薬で、補助的に用いられます。

いずれの場合にも、逆流性食道炎では薬の服用をやめるとすぐに再発してしまうことがあります。
そのため長期間にわたる服用が必要となる場合もあります。

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生活習慣の改善

逆流性食道炎の治療は、薬さえ飲んでいればよいということではありません。
薬物治療と併せて、生活習慣の改善も必要です。
生活習慣を改善するだけでもある程度症状を軽くしたり、再発を予防したりすることが可能だと言われています。

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<食生活>

脂肪や甘いもの、刺激物などを摂り過ぎないように注意しましょう。
食事は適量を意識し、よく噛んでゆっくりと食べることが大切です。
アルコールを制限することが症状の改善に役立つとも言われています。

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<姿勢>

排便時のいきみ、ベルトの締め付け、前かがみの姿勢などは腹圧を上げることになりますので注意が必要です。
肥満も逆流を引き起こしやすくするので、減量に努めましょう。
食後すぐに横になると逆流が起こりやすくなります。
胸焼けがするときは、うつぶせ寝よりも、仰向けで、頭を少し高くして眠るようにしましょう。

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<その他>

喫煙も逆流を起こす原因として挙げられていますので、症状改善のためには禁煙が勧められます。
また、ストレスを軽減する工夫も大切です。

これらを改善するだけでもある程度症状を軽くしたり、再発を予防したりすることが可能だと言われています。

外科手術

薬物治療による効果が見られない場合や再発を繰り返す場合、出血がひどい場合などは、外科手術が行われることもあります。
手術では、胃を元の位置に戻して食道と胃のつなぎ目を締め直す「噴門形成術」が一般的です。
腹部に開けた小さな穴から腹腔鏡を入れて行う手術が主流になり、負担も少なくなっています。

まとめ

それでは最後に、逆流性食道炎についてまとめておきます。

・逆流性食道炎とは、胃酸が食道に逆流することにより、食道が炎症を起こす病気である
・加齢や食べすぎなどによる食道下部括約筋の緩み、肥満や前かがみの姿勢による腹圧の上昇、胃酸過多などが原因となる
・胸やけと呑酸が代表的な症状だが、のどの不調や咳、耳の痛みなどが生じることもある
・症状から逆流性食道炎を診断するほか、内視鏡による検査が行われることもある
・逆流性食道炎は、酸分泌抑制薬などの薬物による治療とともに生活習慣を見直すことが必要である

参考文献:

「胃食道逆流症(GERD)ガイド」日本消化器病学会ガイドライン
https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/gerd.html
「わかりやすい病気のはなしシリーズ46 食道の不快な症状~胃食道逆流症のはなし~」日本臨床内科医会
http://www.japha.jp/doc/byoki/046.pdf
「(得)けんこう教室/逆流性食道炎/生活習慣の改善をこころがけて」全日本民医連
https://www.min-iren.gr.jp/?p=11960

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