胃炎とは? 2つの胃炎、その症状・原因・治療法

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「胃炎」に悩む方が増えています。

胃痛や胃もたれ、食欲不振など、胃のトラブルはさまざまあります。
「いつもの胃の痛みか…」で済ませてしまっている方も多いかもしれませんが、もしかしたら胃が炎症を起こしてしまっている可能性もあります。

では、胃炎とはどのような病気なのでしょうか?
急性胃炎と慢性胃炎とは?
その症状や原因、治療法は?

気になる胃炎の実態に迫ります。

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<目次>

胃炎とは
急性胃炎
 症状
 原因
 治療法
慢性胃炎
 症状
 原因
 治療法
胃炎の検査
まとめ

胃炎とは

胃炎とは、胃の粘膜に炎症が起きている状態を言います。

胃の主な働きは、食べ物の第一次的な消化です。
栄養素を吸収しやすい形に変え、続く小腸へと送るという役割を果たしています。
胃壁から分泌される胃酸はpH1~2の強力な酸性状態にあり、内容物が腐敗するのを防いでいます。
この胃酸から胃を守る役割を担っているのが、粘液です。
胃壁のもっとも内側にある胃粘膜を、厚さ0.5mmほどの胃粘液のベールが覆い、胃酸が直接胃壁に触れないようにしているのです。

しかし何らかの原因によって胃酸の分泌が過剰になる、あるいは胃粘液の分泌が低下すると、この攻撃と防御のバランスが崩れ、胃酸によって胃粘膜が傷つけられてしまいます。
胃粘膜は少しくらいの傷であれば自分で修復する力を持っていますが、傷が大きくなれば修復が間に合わず炎症を起こしてしまいます。
これが、胃炎です。

胃炎は大きく急性胃炎と慢性胃炎の2つに分けることができます。
それぞれの症状や原因、治療法などについてはこの後詳しく見ていきます。

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急性胃炎

急性胃炎とは、胃粘膜に急性の炎症(びらんや浮腫、発赤、時に出血など)が起こるものを言います。
暴飲暴食やストレスが原因になるもので、日常的に起こりやすい病気の一つです。

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症状

急性胃炎の症状には、次のようなものがあると言われます。

  • みぞおち辺りの痛み
  • 食欲不振、膨満感
  • 吐き気、嘔吐
  • 吐血、下血

急性胃炎では、原因となる事象から比較的短時間でこのような症状が現れることが多く、また症状は比較的強いのが特徴です。

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原因

通常、急性胃炎には特定の原因があります。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 暴飲暴食
  • アルコールや刺激物の摂り過ぎ
  • 医薬品(非ステロイド系消炎鎮痛剤など)
  • ストレス
  • 喫煙
  • 細菌やウイルスなどの感染症 など

これらは直接胃壁を刺激するほか、胃酸の分泌を過剰にしたり、胃粘膜の血流を低下させたりして攻撃と防御のバランスを崩し、胃粘膜を荒らす原因となります。

治療法

急性胃炎の原因がわかっている場合には、その原因を取り除くことが治療の第一歩となります。
薬物やアルコールなど、原因を除去することで多くの場合症状は軽くなります。
同時に胃に負担をかけないような食事を心掛け、2~3日安静にしていれば治るケースがほとんどです。

嘔吐などの症状がひどい場合などは医療機関を受診するようにしましょう。
点滴による栄養補給が行われるほか、胃酸分泌抑制薬、胃粘膜保護薬、運動機能改善薬などの薬物治療が行われることもあります。

対症療法と合わせてストレスを減らす、アルコールやタバコを控えるなど、生活習慣を改善することも大切です。
急性胃炎の原因となるような行動を繰り返していると、症状が悪化し、慢性胃炎や胃潰瘍へと移行するケースもありますので注意してください。

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参考:
「急性胃炎」時事メディカル 家庭の医学
https://medical.jiji.com/medical/013-0031-01

慢性胃炎

慢性胃炎とは、胃の炎症が慢性的に起こることによって胃粘膜に何らかの変化が生じているものを言います。
急性胃炎が治療可能なものであるのに対し、慢性胃炎は完全に修復するのは難しいと言われています。
また、胃がん発生のリスクも高まることから注意が必要とされています。

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症状

慢性胃炎の症状には以下のようなものがあります。

・胃もたれ
・胸焼け
・夜間や空腹時の胃痛
・食欲不振 など

慢性胃炎では、症状が急性胃炎と比べて不定期であったり、不明確であったりして、なかなか病気だと気が付かない場合が多いと言われています。
中には症状がほとんど出ず、健康診断で初めて慢性胃炎と診断されるケースもあります。

原因

慢性胃炎は、生活や飲酒習慣、ストレスなどによって胃への刺激が繰り返されることに加え、加齢に伴う胃の機能低下が原因で発症するものと考えられてきました。
しかし最近になって、慢性胃炎にはピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が大きく関わっていることがわかってきました。
ピロリ菌は胃粘膜の中に生息する細菌で、有毒物質やアンモニアを生成することによって胃粘膜を刺激して炎症を起こします。
慢性胃炎のほか、胃潰瘍や胃がんにもピロリ菌が関係していると言われています。
日本では50歳以上の方の半数以上が感染しているとも言われており、慢性胃炎の大きな原因となっています。

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治療法

慢性胃炎では、主に薬物治療が行われます。
胃酸の分泌を抑える薬、胃粘膜を保護する薬、胃の運動機能を改善する薬などを症状に合わせて使い分けます。
慢性胃炎は完治することが難しいと言われており、薬の服用を止めるとすぐに再発することもあります。
自分の判断で薬を飲んだり止めたりということがないように、定期的に医師の診断を受けるようにしましょう。

また、ピロリ菌が慢性胃炎の主な原因と疑われる場合には、ピロリ菌の除去治療が有効です。
ピロリ菌の除去は通常抗菌薬と胃酸の分泌を抑える薬の2種類を用いて行われます。
2013年からは、それまでの胃潰瘍や十二指腸潰瘍といった病気に加えて、慢性胃炎でのピロリ菌除去治療にも保険が適用されるようになりました。

慢性胃炎の進行を防ぐためには、薬物治療やピロリ菌除去治療と合わせて生活習慣の改善も必要です。
具体的には以下のような点に注意しましょう。

・ストレスをため込まない
・アルコールやコーヒー、刺激物を取りすぎないようにする
・暴飲暴食を避け、栄養バランスの取れた食事を心掛ける
・規則正しい生活を送る

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参考:
「慢性胃炎」時事メディカル 家庭の医学
https://medical.jiji.com/medical/013-0033-01

胃炎の検査

では、胃炎かどうかを検査する方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

急性胃炎では、問診や触診が中心となります。
どのような症状が、いつから、どのくらいあるのか、また食事や薬など胃炎の原因となるような事象があったかどうかといった情報から診断が行われます。
症状がひどい場合には、内視鏡検査などのより詳しい検査が必要になります。
また、慢性胃炎が疑われる場合にも以下のような検査が行われます。

・内視鏡検査(胃カメラ検査)

先端に超小型カメラが付いた内視鏡を口またはから入れ、胃の内部をモニターに映して直接観察する方法です。
炎症の程度や、潰瘍、腫瘍の有無などが確認できます。
また、内視鏡の鉗子で組織を採取することにより、より詳しい検査を行うことも可能です。
近年では、内視鏡の管が外径5mmほどと小さくなったことに加え、検査の際には鎮痛剤などが使われることもあり、負担は少なくなっています。

・X線検査

バリウム(造影剤)を飲んでX線で撮影をし、食道から胃、十二指腸を観察します。
潰瘍や腫瘍に加え、臓器の偏位(位置の偏り)や狭窄などがないかといったことも確認できます。
最近ではバリウムも比較的飲みやすくなり、負担も小さくなってきています。

・ピロリ菌検査

慢性胃炎が疑われる場合、その大きな原因として挙げられるピロリ菌の有無を検査することもあります。
内視鏡検査によって採取した組織の中にピロリ菌がいるかどうかを調べる検査のほか、血液や尿からピロリ菌の抗体の有無を調べる検査、尿素を含んだ検査薬を飲んだ後の呼気中の二酸化炭素の比率からピロリ菌の有無を調べる検査などがあります。

⇒ピロリ菌とは何か? 8つの知識を学ぼう 詳しくはこちら

慢性胃炎の場合には特に胃がんのリスクも高まることから、定期的な検査が必要になります。

参考:
「胃」全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g4/cat410/sb4020/ra103/

まとめ

それでは最後に、胃炎についてまとめておきます。

・胃炎とは、胃酸によって胃粘膜が傷つけられ炎症を起こした状態を言う
・暴飲暴食や刺激物の摂り過ぎなどによって急性の炎症が起こり、胃痛や吐き気などが生じるものを急性胃炎と言う
・急性胃炎に薬物治療が行われるほか、原因を除去し、安静にすることで自然に治癒する場合が多い
・炎症が慢性的に起こる慢性胃炎では、胃もたれなどの症状が不定期、あるいはまったく出ないことがある
・慢性胃炎には生活習慣や加齢のほか、ピロリ菌が大きく関わっていると考えられる
・慢性胃炎の治療では、ピロリ菌除去治療や薬物治療と合わせて生活習慣の改善も必要
・胃炎の検査方法には、内視鏡検査、バリウム検査、ピロリ菌検査などがある

参考文献:

別冊NHKきょうの健康 「「胃もたれ・胸やけ」は治せる」 監修 三輪洋人
成美堂出版 「胃腸・肝臓などのしくみと病気がわかる事典」 監修 安藤幸夫・西尾剛毅
時事メディカル 家庭の医学 https://medical.jiji.com/medical/
全国健康保険協会 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/
「特集2 胃の病気 自己判断せず、受診・検査を」全日本民医連
https://www.min-iren.gr.jp/?p=3853

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